第111章 その時、面白いことになる

神野真美が直接電話をかけてきて、オレンジフィールドエンターテインメントと契約したいと言った。

  直接!

  天野奈々は落ち着こうと努力したが...それでもやはり驚いていた。

  「神野社長...」

  「天野さん、申し訳ありません。実は、あなたがスカイ・エンタメと契約解除した後、私はあなたと契約したいと思っていたんです。でも、あなたがクリエイティブアーツと契約するという話を聞いて、残念ながらその考えを諦めていました」

  「しかし、今夜五十嵐さまと話をしていて、あなたがクリエイティブアーツと契約するつもりがないということを聞きました。オレンジフィールドに来ていただけませんか?」

  天野奈々が答える前に、神野真美はまた笑って、彼女の断る言葉を遮った。「あなたの履歴書はもう見ました。私の部下が仕事をきちんとしなかったことについて、許してください」

  どうやら、神野真美は山田静香が裏で手を回したことを知っているようだった。

  「神野社長のお目にかなって光栄です...」

  「明日会えませんか?ランチにご招待したいのですが」

  天野奈々は連続して二回うなずき、電話を切った後も現実感がなかった。今夜の佐藤宏の様子を思い出し、おそらく神野真美が彼女に連絡するタスクを佐藤宏に任せたのだろうと推測した。しかし...

  佐藤宏は指示通りに行動しなかった。

  履歴書を送る件も含めて、彼女は二度も妨害されたことになる。どうやら、五十嵐さまが図らずも彼女を助けてくれたようだ。

  そう考えると、天野奈々は突然、佐藤宏と山田静香の末路があまり良くないかもしれないと思った。神野真美は女性だが、オレンジフィールドを今日まで成長させた彼女の手腕と能力は想像に難くない。

  しかし、佐藤宏と山田静香は彼女をバカにして騙し、堂々たる社長の立場を脅かし、挑発したのだ。

  「良いことでもあったのか?」シャワーを浴び終えて浴室から出てきた墨野宙が、窓際に立つ天野奈々を見て、暖かい体を寄せ、身をかがめて彼女の肩に頭を乗せた。