第108章 山田静香再び行動を起こす

天野奈々は少し考えてから、頷いた。「私は招待状を受け取っていませんが...どういう立場で行けばいいのでしょうか?」

「陸野徹はもう準備済みだ...明日の夜7時、遅刻しないようにね。」

天野奈々は墨野宙の胸に顔を埋め、激しい情事の後で全身が疲れていたため、すぐに目を閉じて眠りについた。

墨野宙は彼女の背中を優しく撫で、額にキスをした。長い間彼女のまつ毛を見つめてから、ようやくベッドサイドのランプを消し、天野奈々を抱きしめたまま眠りについた。

墨野宙が天野奈々を連れて行こうとする理由は何か?それは、チャリティーパーティーにオレンジフィールドエンターテインメントの社長である神野真美も出席するからだ。もしオレンジが今回面接する人物が山田静香だとしたら、山田静香は必ず天野奈々の邪魔をするだろう。だから、彼は天野奈々に先に意思表示させようと考えた。天野奈々の履歴書が神野真美の手元に届く前に、山田静香によって落とされてしまうのを防ぐためだ。

天野奈々の夫として、また彼女唯一の頼りとして、墨野宙はあらゆる手段を尽くしていた。天野奈々にチャンスを与えられるところなら、どこでも利用していた。

もちろん、墨野宙の考え方は間違っていなかった。

オレンジの人事チームは、最初の書類選考で天野奈々の履歴書を見つけた。そのため、スタッフは興奮して、この件を人事責任者の山田静香に報告した。

山田静香は彼女を自分のオフィスに呼び出し、天野奈々の履歴書を手に持ちながら、黒縁メガネの下に隠された狡猾で計算高い目で言った。「私も残念だと思うけど、天野奈々の年齢が高すぎて、我々の考慮範囲外なの。だから...残酷だけど、落とすしかないわ!」

相手は天野奈々を落とすと聞いて、すぐに困惑した表情を見せた。「神野社長に聞いてみてはどうでしょうか?」

「聞く必要はないわ。この件が神野社長のところまで行っても、結果は同じよ。彼女を煩わせる必要はないわ。」山田静香はそう言うと、天野奈々の履歴書を引き裂いてゴミ箱に捨てた。「それと、この件は当分誰にも言わないで。天野奈々は今、いくつかの有名な芸能事務所が争奪戦を繰り広げている対象なの。私たちが天野奈々を採用できないなら、彼女の面子を立てておきましょう。わかった?」