このショーが終わって、天野奈々は元々オープニングだけだったはずだった……
しかし、高橋璃のせいで、逆に天野奈々がランウェイに立つ機会が増えた。また、天野奈々の存在感があったからこそ、他のモデルたちは何でもなくなり、何にも見えなくなった……ただの抜け殻がランウェイを歩いているだけで、まったく魂がなかった。
これが天野奈々の素晴らしいところだった……
秀監督も完全に目を見張った。なぜなら、これはとても稀有なことだったから……天野奈々は単に専門的なスキルが高いだけでなく、さらに重要なのは、彼女の個性が本当に際立っていて、とても輝いていたことだ。まるで彼女はランウェイのために生まれてきたかのように、彼女とランウェイが一体化していた。
興奮の中、秀監督はゲスト席に、並外れた男性が座っていることに気づいた。彼は最も鋭く深い目を持ち、鷹のように、始終天野奈々に視線を固定していた。それは雄の動物が感じ取れる保護欲と所有欲なのだろうか?
墨野宙だった!
海輝の墨野宙が、わざわざRoyaltyのショーを見に来たのか?
確かに先ほどバックステージで、天野奈々と墨野宙に個人的な交流があるという噂があったが、誰も実際に見たわけではなかった。今、秀監督は本人を見て、驚きとともに、心に寒気が走った。もし天野奈々がバックステージでの出来事を墨野宙に告げたら……
もしかしたら、彼の考えすぎかもしれない。もし天野奈々と海輝の関係が本当に良好なら、天野奈々は今の地位にいるはずがない。しかし、墨野宙のさっきの眼差しは、どう説明すればいいのだろう?
秀監督が驚いている間に、墨野宙の視線が彼にも向けられた。秀監督が口を開こうとしたとき、墨野宙は微笑みながら、「シーッ」というジェスチャーをした……
つまり、黙れということだ!
秀監督は一瞬戸惑い、木のように頷いた。本当に墨野宙だったのだ。
続いて、デザイナーがモデルたちを連れて挨拶をした。しかし、観客の心に残ったのは天野奈々だけだった。先ほどバックステージで不満を持っていたモデルたちも、もはや何も言えなくなっていた。天野奈々は空降りどころか、直接国際舞台に立っても、誰も彼女の実力を疑うことはないだろう……