海輝は芸能界のトップではあるものの、やはり俳優や歌手が中心だ。一方スターキングは、すべてのモデルが憧れる殿堂ではあるが、以前彼女を締め出したことがある。
だから、彼女は一時的に、どちらを選ぶべきか分からなかった。
天野奈々はこの二つの名前を聞いて、無言で墨野宙に微笑んだ。
彼女は明確な答えを出さなかったが、おそらく心の中では既に自分なりの基準を持っていたのだろう。
「どうやら、君はどちらにも入りたくないようだね」
「いいえ、今はまだその一歩を踏み出さなければならない段階ではないということです」天野奈々は墨野宙を安心させた。「墨野社長、私が他人にリソースを奪われるような小娘だと思っているんですか?」
「もしその段階に来たらどうする?」墨野宙は追及した。