第172章 私はこの助手を上手く「使う」わ

風采の訪問を前に、天野奈々は生放送室で予告を録画した。テレビ局を出る時、入り口には大勢のファンが押し寄せていた。

彼女たちは直接花束を贈り、写真撮影を求めた。奈々は全て快く承諾した。こんな寒い中、外で待っているのは本当に大変だと思ったからだ。

もちろん、ファンたちが一番知りたがったのは、影の男神についての情報だった。しかし、奈々はみんなに笑顔で答えた。「明日の夜の風采の生放送を見てください。きっと満足のいく答えが得られると思いますよ。」

ファンたちは思わず歓声を上げ、特に奈々が自らサングラスを外し、非常に親しみやすい態度でサインをしてくれたことに興奮した。

「近くで見るともっと綺麗!」

「脚が本当に長いわ。」

「天野お姉さん、怖がらないで……私たちがあなたを守ります。」

奈々は歩きながらサインをし、この言葉を聞いて明らかに一瞬止まり、みんなに笑顔を向けた。

15、6歳くらいの女の子が、制服を着て、横断幕を持っていた。

奈々はそこで藍川七瀬のことを思い出した。同じように若々しい年齢なのに、これらのファンから放たれるエネルギーに感動した。15歳の年齢で、自発的に他人を守ろうと考えるなんて。

だから奈々は思わず、その子の頭を撫でた。「私があなたたちを守るから、あなたは自分自身を守ってね。」

実は、彼女は知っていた。以前は反撃することばかり考えていて、ファンたちともっと接する機会を持つことができなかった。これからは、もっとファンの声に耳を傾けようと思った。

最後に、奈々はみんなに手を振って別れを告げ、安藤皓司の護衛のもと、専用車に乗り込んだ。

「君は本当に他人からエネルギーを得るのが上手いね。」安藤は奈々の先ほどの言葉を思い出し、感慨深げに言った。

「当然よ。15歳の子供が、私を守りたいって言ってくれたのよ。たとえその力はなくても、その勇気はある。私たち大人が子供に負けていいわけない?」

安藤は言葉を失い、何も言わなかった。とにかく、彼は奈々の新しい特質を発見した。

それは、彼女が常に自分自身を反省しているということだ!

だからこそ、彼女は尽きることのないエネルギーを持っているのだろう。