第180章 愛されること！

その後、天野奈々はテレビ局を出て、墨野宙の車に乗り込んだ瞬間、強い力で抱きしめられ、キスをされた。

　　天野奈々は少し慣れてから、その馴染みのある体温と香りを感じ、自分も墨野宙のキスに応え始めた。二人の胸の中の空気が互いに吸い尽くされるまで、墨野宙はようやく止めた。

　　彼は鼻先を天野奈々の鼻先に当て、セクシーで掠れた声で天野奈々の唇の端で囁いた。「これが最後だ。もし次があれば、必ず全世界に宣言する。お前は...俺、墨野宙の女だってな。」

　　天野奈々は暗闇の中で墨野宙の顔を両手で包み、笑いながら言った。「言おうが言うまいが、私はあなたの女よ。頭の先から足の先まで、完全に。」

　　墨野宙は名残惜しそうに彼女を離し、車を運転し始めた。「明日、海輝が声明を出すよ。今夜丸の内の会場で起こったことについて説明する。心配する必要はない。」

　　「もちろん心配してないわ。でも、神野真美は陸野徹と中村さんの関係を簡単には信じないと思う。結局のところ、中村さんのおじいさんが誘拐された時、中村さんは陸野徹のバックグラウンドを利用しなかったから。それに、今夜私が冒険してあなたと生中継したのは、あなたに私の家族だと認める機会を与えたのに、あなたはそれを掴まなかった。丸の内の会場のあの声と、スタジオのこの声が非常に似ていることに、他の人が気づく可能性があったのに。」

　　「君は俺を責めているのか？」墨野宙は思わず笑いながら言った。

　　「うん、責めてるわ。あなたも知ってるでしょう、私はもう全世界にこれが私の夫だと認める心の準備ができていたのよ。」

　　「君は心の準備なんてしていなかった。なぜなら、君はずっと俺を信じていて、俺が自ら口にしないと信じていたからだ。」墨野宙は天野奈々を一瞥し、彼女の本心を見抜いた。「でも俺はとても嬉しいよ。世間と関わりを持たないように見える俺の妻が、ついに他人に自慢したくなるほど、これが私の夫だという誇りを感じるようになったんだから。」

　　「ごめんね、墨野夫人。一晩で有名にならせてあげられなくて...」

　　天野奈々は思わず軽く笑い、頭を傾けて墨野宙の体に寄りかかった。「あなたを観客として扱わなきゃいけないわね。」

　　「今、俺が観客に一番言いたいことが何かわかるか？」