第231章 天野奈々は毒薬ではない、彼女は本当に素晴らしい

「深水さん、天野奈々はすごいわ。山本修治の広報チームも素晴らしい仕事をしたわ。今や世論はほぼ私たちの味方になったわ」病室で、助手はニュースを見ながら喜びの表情を浮かべた。「でも、約束して。もう二度とこんな馬鹿なことはしないでね。あの日記は私が読んでも長い間泣いてしまったわ」

深水藍華は死地に追い込まれた後に生まれ変わったような感覚があった。心の中には怒りの他に、他の苦痛はかなり軽減されていた。おそらく、海輝のこの強力な反撃のおかげだろう。

「私はずっと、天野奈々は何の取り柄もない女だと思っていたわ。あなたの姉妹と呼ぶ資格なんてないと」

「墨野社長が、何の取り柄もない女を選ぶと思う?」深水藍華は反問した。

助手は恥ずかしそうに頭を掻きながら笑った。

深水藍華は少し考え込んでから、突然顔を上げて窓の外の景色を見つめ、自分でも信じられないような口調で言った。「天野奈々の力は、人の心を蘇らせるほど大きいのよ。それでも彼女が何の取り柄もない女だと思う?」

「墨野社長がなぜ天野奈々を好きになったのか、完全に理解できるわ。そして、この世界で天野奈々だけが墨野社長にふさわしいと思う。他の人は…認めないわ」

「昔の天野奈々がどうだったかは知らないけど、今の天野奈々は、人の魂を見通す力があるわ」

助手は魂がどうとかよくわからなかったが、今の深水藍華がこんなに早く立ち直れたのは、天野奈々の功績が大きいことはよくわかった。

彼女はまるで、全く新しい深水藍華を感じているようだった!

おそらく、この日から、天野奈々のこの恩は深水藍華の心の底に根付いたのだろう。だから、この日から、彼女も天野奈々が欲しいものすべてを手に入れる手助けをすることになるだろう。

すべてを…

日記と暴行のおかげで、深水藍華は一矢報いた。しかし、もしスターキングが海輝にはこの程度の能力しかないと思っているなら、それは海輝も墨野宙も過小評価しすぎているということだ。

続いて、一般人の証言、ファンの反撃、隣人や親戚、友人の支持、ビジネスパートナーの称賛と、海輝は四方八方から、スターキングの暴露を圧倒し、あの人でなしが暴露したすべてのものを、彼の暴行の証拠に変えてしまった。