第272章 もしあなたなら、欲しいですか?

華栄スタジオ、森編集長のオフィス。

夏目凛が先ほどプログラマーに解除してもらった携帯電話が、夕方になってようやく戻ってきた。

森編集長は少し緊張した様子で椅子に座り、回転させながら、ついに携帯電話のアルバムを開いて写真を見始めた。

その中で最も多かったのは、天野奈々と東雲愛理が海輝のナイトパーティーでのPKだった。

森編集長は写真を見て、天野奈々と東雲愛理の比較を見た。実際、彼は内心では天野奈々の方を認めていた。結局のところ、何を着ても服と相互に引き立て合うモデルはそう多くはないのだから。

しかし、彼は天野奈々が男性を弄びながらも白蓮の花を演じていることが気に入らなかった…

そう考えながら、森編集長は写真を次々とめくっていった。驚いたことに、アルバムの中に天野奈々と墨野宙がかなり親密な写真が数枚見つかった。特に天野奈々が酔っ払って墨野宙の腕にぶら下がっている写真や、墨野宙が天野奈々をおんぶしてパーティーを去る場面の写真があった。

「なかなかの手口だな」森編集長は冷笑した。

今日はちょうど墨野宙がゲイだという噂が広まっている時だった。しかし、もしこの写真が流出すれば、墨野宙がゲイだという噂は自然と崩れるだろう。結局のところ、二人がこれほど親密な関係にあるのに、恋人同士でないとは誰も信じないだろう。しかし、彼は今すぐにこれを公開するつもりはなかった。

ついに、また一つの証拠を手に入れた…

天野奈々、お前が名誉を失墜する時まで、おそらく、そう遠くはないだろう。

……

夜7時、シーザーホテル。

深水藍華は同級生との約束で見合いに出かけることにした。過去を乗り越える決意を示すため、彼女は盛装して、どんな授賞式にも引けを取らない姿で臨んだ。

VIP専用席に着くと、深水藍華は相手がすでに席で待っているのを見た。深水藍華は腕時計を確認した。このフランス人の若くてハンサムな男性は、かなり時間を守る人のようだった。

芸能界で長年過ごしてきた深水藍華は多国語に堪能だったので、二人のコミュニケーションには全く問題がなかった。ただ、相手がこれほど紳士的なのを見て、深水藍華は相手の感情を無駄にしたくないと思い、直接自分の出身や過去の経験について正直に話した。