第302章 私も初心者です

お風呂を済ませた中村さんは、少し緊張しながらベッドに横たわり、犬の飼い方を調べていた。そのそばで、陸野徹は濡れた髪のまま、パソコンを抱えて仕事をしていた。

中村さんが近づいて覗き込むと、そこにはスターキングに関する様々な報告書が映っていた。

陸野徹は彼女を見て尋ねた。「わかるか?」

中村さんは首を振った。「ボス、スターキングを引き継いだら、運営方式を変えるんですか?」

「スターキングは海輝の傘下には入らない。スターキングは社長の個人資産で買ったものだからな。それに、スターキング内部では権守様が事故に遭う前に動く暇もなかった。だから今のところ、大きな変更は必要ない」

「じゃあ、ボスはこれからもっと忙しくなるんじゃ...」

「まあね」陸野徹は頷いた。そう言うと、パソコンを閉じ、近くにあったタオルで髪を拭き始めた。

中村さんの心臓が突然ドキドキし始めた。陸野徹が仕事を終えたということは、これからふたりで布団をかぶって純粋におしゃべりするだけ?それじゃあまりにも純粋すぎる、少しもったいない気がする...

でも、こうして男性と寝てしまうのも、少し心残りな気がして...

髪を乾かし終えて寝室に戻った陸野徹は、中村さんが緊張しているのを見て、すぐにベッドサイドランプを消した。

中村さんはホッとため息をついたが、陸野徹に笑われてしまった。「俺に片想いしてた時は、チャンスがあれば近づこうとしてたじゃないか?今は魅力がなくなったのか?」

中村さんはパソコンを閉じ、少し恥ずかしそうに陸野徹の体を一瞥してから、手で目を覆った。「あなたが私に片想いしてた時だって、同じだったじゃない...」

「だから俺はチャンスを掴んでキスしたりハグしたりしたんだ...」陸野徹はクッションを投げ捨て、体を支えながら横になろうとした。しかし、中村さんが目を覆う姿勢に大きな隙間があるのを見て、思わず軽く皮肉った。「見たいなら堂々と見ればいいじゃないか!スターキングの件が正式に手続きに入ったら、俺は会社で寝ることになるかもしれない。そうしたら見たくても見られなくなるぞ...」

陸野徹がそう言うのを聞いて、中村さんは突然体を倒し、陸野徹の上に覆いかぶさった。「じゃあ、今のうちにたくさん抱きしめておこう」