しかし、警察に通報すると……
彼女の婚前妊娠が明るみに出る。
高宮美咲は頭を下げたまま、長い間何も言わなかった。子供と芸能活動、どちらも失いたくなかった。
陸野徹は彼女の躊躇を見抜き、すぐに言った。「墨野社長はJ-KINGを許すはずがありません。権力奪取にせよ、天野奈々を陥れるにせよ、映画のリメイクにせよ、全て社長の底線を踏み越えています」
「だから今日あなたに会いに来たのは、最後の主導権を残すためです。あまりにも惨めな負け方にならないように」
言い終わると、陸野徹は携帯を片付けて立ち上がった。そのとき、高宮美咲はようやく声を出して陸野徹を引き止めた。「警察に通報することに同意します。でも……必ず子供に何もないことを保証してください」
「それは警察の仕事です。私からは何の保証もできません」