第346章 今回は奥様を狙っている

「怖がらないで、私たちはそばにいて助けてあげるから」と森口響は天野奈々に小声で言った。

天野奈々は振り返って墨野宙を見ると、彼が口角を上げて明らかに笑みを浮かべているのに気づいた。しかし、彼女の心はまだ十分にリラックスできていなかった。「私が『バカ弟子』を最下位にしてしまったのに、あなたたちは全然心配していないの?」

「何を心配することがあるんだ?」と墨野宙は反問した。

「もしもモデルだったら、私は全ての変化をコントロールできるし、どうすればいいか分かっているから、自分のイメージを挽回して、自己成長できるわ。でも、女優としては...まだ慣れていないの」

「君の演技力に墨野社長の広報力を加えれば、いつかは日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞も手中のものさ」と森口響は天野奈々への賞賛を惜しまなかった。