第377章 天野、早く出てきて否定して

「なんてこと……」

「どうしたの?」

幸い高さはそれほどではなく、北川東吾が天野奈々を庇っていたため、二人が同時に落下した際、天野奈々は北川東吾の胸の上に倒れこんだ。それでも天野奈々は気を失い、下敷きになった北川東吾の腕もかなりの怪我を負ったようだ。

墨野宙は直ちに二人を起こし、周りの人々に言った。「すぐに病院へ」

皆はあまりの衝撃で呆然としており、病院に運ぶことなど完全に忘れていた。

墨野宙は何とか二人を車に乗せ、監督に厳しい口調で言った。「調査しろ。なぜこんな事故が起きたのか、徹底的に調べろ!」

監督も呆然としており、特に墨野宙の険しい顔を見て、パニックになり、何度も頷いた。「は、はい、分かりました」

スタッフはそれを見て、すぐに立ち上がり、監督の手を掴んで言った。「監督、これは私の責任ではありません。ワイヤーは使用前に全て点検済みでした」