第391章 天野茜が貴方を傷つけようとしても、母さんは許さない

その瞬間、黒山のように押し寄せた記者たちと、無数のカメラレンズを前に、夏目玲奈は20年以上も心に秘めてきた秘密を、すべて打ち明けた。

もう恥ずかしさなど感じなかった。

娘と夫の間で、これまで間違った選択をし続けてきた。そして今こそ、すべてを正すときだった。

「ですから、メディアの皆様にお願いします。私の娘を不倫相手の子供だと誹謗するのはやめてください。私、夏目玲奈は正当な妻であり、私の娘の天野奈々は、れっきとした天野家の血を引く子供なのです。」

「もしご疑問があれば、証拠をお見せすることもできます……これらは偽造できないものばかりです。」

「私、夏目玲奈はここで誓います。これからは、誰にも娘を傷つけさせません。」

メディアはカシャカシャと壇上の彼女を撮り続け、夏目玲奈の表情の一つ一つまでも逃すまいとしているようだった。

なんと、天野家にはこんな醜聞が。

なんと、天野奈々にはこんな生い立ちが……

そして夏目玲奈は、長年夫の行為に耐えた末に、ついに娘のために夫の過ちを暴露したのだ……

「夏目さん、天野家の醜聞を暴露して、報復が怖くないんですか？」

記者の質問に、夏目玲奈は冷笑を浮かべ、涙を拭いながら答えた。「今日ここに立っている時点で、家庭が崩壊することも覚悟の上です。私は娘に、胸を張って生きてほしい。これからモデルをしようが、女優をしようが、堂々と歩んでほしい。なぜなら私という母親は、娘に恥ずかしい思いをさせるようなことは何一つしていないからです。」

「報復ですって？娘が幸せに暮らせるなら、私は何も恐れません。」

「それと、本日はお集まりいただき、ありがとうございました。」

夏目玲奈の回答を聞いて、記者たちは私語を交わし始めた。

「おそらく天野家の内紛が激しすぎて、天野奈々さんの立場が厳しくなりすぎたから、夏目さんが声を上げざるを得なくなったんでしょうね。」

「高所からの転落事故も、業界の悪質な競争だと思っていたけど、もし本当に天野家の人がやったとすれば、夏目さんが天野奈々さんを守るために立ち上がったのも無理はない。命に関わる大事だもの。」

「そうよね、妻としても母としても、夏目さんは偉大よ。少なくとも私には、他人の子供のために自分が我慢して、実の娘を遠ざけることなんてできないわ。」