第443話 証拠はどこだ?

「皆に認めてもらいたいの?」天野奈々は栗原暁を見つめ、真剣に尋ねた。「栗原さん、私は警告したはずよ……チャンスも与えたはずよ。」

「分かってるわ。あなたはずっと、なぜ私が主役になれなくて、あなたが主役になれたのか納得できなかった。墨野宙との関係で役を得たと思い込んで、私を降板させようとしていたでしょう?」

「でたらめを!」栗原暁は反論した。「罪から逃れるために、私と白川の名誉を傷つけるなんて、良心が痛まないの?」

「でたらめ?」天野奈々はその言葉を繰り返し、栗原暁に向かって眉を上げた。「その言葉を口にする時、自分を騙せたの?」

「天野さん、そんな芝居がかった態度は止めなさい。証拠があるなら出してみなさいよ」白川秋人は天野奈々を指差し、先ほどとは違う焦りを目に浮かべた。「証拠もないのに、そんな無責任なことを言わないで」