「今から、スマホを置いて。大事な話があるの」みんなが天野奈々を心配した後、墨野宙がベッドの端に座り、真剣な眼差しで天野奈々に尋ねた。「昨日、中村さんと一緒に東京病院に行って、血中HCG検査を受けたよね?」
天野奈々は頷いたが、なぜ墨野宙がこの件について触れるのか分からなかった。
「今朝、東京病院から電話があって、私が受けたんだ。その時、医師の診断では、君は妊娠しているとのことだった」
天野奈々は呆然とし、しばらくして朝の墨野宙の口角が上がっていた様子を思い出した。
「でも...こちらの病院では...」
「さっき君が寝ている間に、もう一度東京病院に行って、検査結果を受け取り、医師に状況を確認したんだ。医師は君が確かに妊娠していると断言していた」墨野宙は深く息を吸い、落ち着いてから優しく天野奈々に告げた。「それに、病院がこんなに早く君の検査結果を漏らしたことから、誰かが裏で手を回したのではないかと疑っている」