第473章 自分で自分を破滅させる

北川東吾と冬島香の関係が確定した後、北川東吾はすぐに墨野宙に電話をかけた。「海輝からプレスリリースを出して、私たちの関係を公表しましょう。」

「以前は海輝を頼ることを軽蔑していたのに、今になって私に頼りたくなったのか?」墨野宙は北川東吾をからかう機会を逃さず、条件を出した。「プレスリリースを出すのはいいが、その代わり海輝と契約を結んでもらう。」

「いや、墨野、お前は結婚して一年だろう。まさか、俺に一生独身でいてほしいとは思っていないだろう?俺も早く結婚して、お前に追いつきたいんだ。」

「私の進度には追いつけないだろうね。」墨野宙は自信に満ちた笑みを浮かべた。「なぜなら、私はもうすぐパパになるから……」

北川東吾は「……」

天野奈々は墨野宙の隣に座り、育児書を手に持ちながら、墨野宙が北川東吾に自慢するのを聞いて思わず笑った。「誰にでも言いふらすなんて、墨野社長らしくないわね。」

墨野宙は携帯を置き、天野奈々の側に座った。「まだ興奮が収まらないようだ。」

「北川東吾のことだから、早く手配してあげて。おじいさまにも説明しやすいでしょう。」天野奈々は墨野宙の端正な顔を優しく撫でながら言った。

墨野宙は天野奈々に近づき、彼女の額にキスをした。そして頷いた。「今夜は早く帰って君と過ごすよ。」

「お昼に会社に行って、一緒に食事しましょう……」天野奈々は墨野宙に艶やかな笑みを向けた。

「ああ。」

そう言って、墨野宙は立ち上がり、家を出ながら山本修治に電話をかけた。「プレスリリースを準備して、私と北川東吾がいとこ同士であることを公表しろ。」皆が一族だからこそ、冬島香は北川東吾のアシスタントをしながら海輝で働くことができたのだ。

誰が本命の女性なのかという件については、おそらく北川東吾自身が出て来て説明するしかないだろう。

その前に、ネット上のコメントは二つの派に分かれていた。

一部のネットユーザーは冬島香側に立ち、知り合った期間の長さや親密度から見ても、北川東吾と冬島香は一組のカップルで、加藤明菜が突然割り込んできただけだと考えていた。

一方、加藤明菜のファンは冬島香のバックグラウンドを笑い、北川東吾は冬島香をただのアシスタントとしか見ておらず、他の感情は一切持っていないと主張した。