第491章 私は決して善良な人間ではない

「もう言わないで。私にどうしろというの?木村さんは私を許してくれないし、鈴木くんのことも許さない。私が出るか出ないかに関係なく、結果は同じよ。柴崎さん、お帰りください」夏目楓は鋭い眼差しで柴崎知子を見つめた。実際、彼女の心は既に乱れていた。

彼女の言葉の意味は十分明確だった。つまり、この件では協力できないということだ。

実際、柴崎知子は来る時からある程度このような結果を予想していた。しかし、試してみようという気持ちで、天野剛が好きだったこの女性が、果たして...良心と勇気を持ち合わせているのかを確かめたかった。

しかし夏目楓がそのような言葉を口にするのを聞いて、柴崎知子はかえって笑った...

「鈴木くんを完全に見捨てるのなら、後悔しないことね」そう言って、柴崎知子は化粧台に寄りかかっていた体を起こし、ドアの方へ向かった。

夏目楓はゆっくりと視線を移した。この瞬間...彼女の目には自嘲の色しかなかった。

彼女は天野剛のことをよく知っていた。どんな場合でも、天野剛は優しい人で、彼女を徹底的に追い詰めることはないだろう。しかし村田のぶふみは違う。

しかし、夏目楓は後になってようやく、今日の判断がいかに間違っていたかを知ることになる。

...

柴崎知子は夏目楓の休憩室を出た後、再び天野奈々に電話をかけ、夏目楓の態度を伝えた。

天野奈々はまず数秒沈黙し、その後こう言った:「つまり、これからは私たちが何をしても、あの女性のことを考慮する必要はないということね?」

「はい、奈々さん。でも鈴木くんのことが心配で...」

「心配いらないわ。彼は二度と振り返らないから」天野奈々は確信を持って言った。「知子、山本さんと相談して、剛と夏目楓の恋愛関係を、最初から最後まで、最も真実な態度で公表しましょう」

「事実は緻密な論理。嘘よりも説得力があるものよ」

「はい、奈々さん。すぐに取り掛かります」

夏目楓が出てこないのなら、彼女に態度を示させるしかない。

たとえ、夏目楓が出てきたとしても、必ずしも天野剛の味方をするとは限らないが...

そして、山本修治の指揮の下、海輝の広報は、二人の恋愛過程を再度詳しく公衆に説明し、天野剛も被害者であることを強調し、天野剛のイメージ回復に努めた。