第543章 近藤青子

パートナーへの礼儀と、その女性への好感から、天野奈々は相手との面会を承諾した。

近藤青子も天野奈々の立場上の不便さを理解していたので、自ら訪問することを提案した。

近藤家には行けないのは当然だった。あの狐女が家にいるのに、天野奈々を見たら発狂するに違いない。

天野奈々は熟考した末、近藤青子に対しても警戒心を持っていた。結局、妊娠のことは今のところ公表するつもりはなかった。自宅での面会が最善の選択だと考え、相手の要望を快く受け入れた。

「宙...この近藤青子さん、なぜ私に会いたがっているのかしら?」電話を切った後、天野奈々は近藤青子のこの行動に疑問を感じていた。

「陸野徹が調べたが、率直な性格の人間だそうだ」墨野宙は薄い毛布で天野奈々を包み、彼女を楽に自分の胸に寄りかからせた。