第782章 強烈な登場！

……

「でも、この数日間、清水星華はもう仕事に復帰したそうよ。友達の話では、CMの撮影の予定だったけど、降板されたって」

「今、こんなに大騒ぎになってるのに、清水星華の神経は図太いわね」

「私がこんな目に遭ったら、絶対に人前に出る勇気なんてないわ。怖すぎるもの」

「私が思うに、今回の件は簡単には収まらないわ。見てなさい、清水星華がプレッシャーに耐えられなくなったら、必ず謝罪に出てくるはずよ」

これは清水星華がオーディション会場のトイレで耳にした会話で、業界人たちの噂話だった。

当時、星華は個室の中にいたが、逃げ出すことはせず、まるで噂話をしていた二人を見なかったかのように、彼女たちの前を通り過ぎ、落ち着いて手を洗い、化粧直しをした。

相手は現場を押さえられた恥ずかしさを感じ、星華のあまりの冷静さに、彼女が手強い相手だと感じ取り、すぐにトイレから逃げ出した。

この映画は、天野奈々が推薦したもので、星華にオーディションを受けるよう勧めたのだ。

会場には多くの人が彼女を指さして噂していたが、星華の心境は以前とは違っていた。噂するなら好きにすればいい、大したことじゃない、どうせ自分の肉が減るわけじゃないのだから。

「見て、清水星華よ。まだオーディションに来る勇気があるなんて」

「誰か早く被害者の家族に電話してよ。清水星華がここでオーディションを受けてるって。これも善行のうちよ」

「そうね、目に物見せてやりましょう」

誰かが密かにメディアに電話をし、メディアはすぐに被害者の家族に通報した……

実は、星華はこのような事態を予想していたが、被害者の家族が本当にオーディション会場に押しかけてきた時、やはり耐え難い気持ちになった。

その感情はあまりにも複雑で、罪悪感のようでもあり、納得できない気持ちのようでもあり、言葉では表現できないものだった。

「私の夫は病院で生死の境をさまよっているのに、あなたはまだ厚かましくもオーディションを受けに来て、映画に出たいだなんて？あなたみたいな人でなしに、そんな資格があるの？」

多くの人々が現場で見物していたが、誰も星華を引っ張る相手を止めようとはしなかった。

トラブルに巻き込まれた以上、この芝居は間違いなく非常に面白いものになるはずだった。