第823話 お前の勘定は済んだが、私はまだ始まってない!

秘書の言葉を聞いて、中村さんは眉を上げ、浅川司の方を向いて尋ねた。「面白い芝居があるけど、見る?」

浅川司は中村さんを不思議そうに見つめたが、数秒の沈黙の後、頷いた。「ええ」

「じゃあ、約束して。絶対に声を出さないでね」と中村さんは念を押した。

浅川司は理解できなかったものの、特に質問はしなかった。なぜなら、中村さんが何をしようとも、自分を傷つけることはないと思っていたからだ。

すぐに二人は応接室の前に着いた。中村さんは入室する前に振り返って浅川司に言った。「あなたはドアの前で待っていて。入らなくていいから」

浅川司は軽く頷き、ドアに寄りかかった。

応接室の中で、ミーちゃんは一人ではなく、ベテランの弁護士を連れてきていた。二人は中村さんを見ると、形式的に立ち上がって手を差し出した。「こんにちは」

中村さんは二人を軽く見やり、主席に座った。「ミーちゃん、率直に話しましょう」

ミーちゃんは一瞬戸惑った。中村さんが自分の名前を知っているとは思わなかったのだ。「あなた...」

「あなたは浅川司の前のマネージャーですから。知っていて当然でしょう。さあ、今日はどんなご用件で?」

ミーちゃんは黒縁メガネを直し、弁護士に資料を取り出させ、中村さんの前に置いた。「今日は浅川司のことについて話し合いたくて来ました。3ヶ月前、浅川司は契約解除金は支払いましたが、まだ未処理の借金があります。それで今日は、この借金をスーパースターで支払うのか、それとも浅川司本人に支払わせるのか、確認に来ました」

浅川司はこれを聞いて、両手をドアに置き、開けようとしたが、中村さんの「声を出さないで」という言葉を思い出した。

そのため、もう一度我慢することにした。

「へぇ?借金?見せてください」中村さんは直接弁護士から資料を受け取り、数ページめくった後、笑みを浮かべながら尋ねた。「3ヶ月前になぜ請求しなかったんですか?今になって浅川司が有名になったから借金取り立てに来たんですか?ミーちゃん、人としてそこまで底なしじゃいけませんよ」

「これは底なしとは関係ありません。借りた金は返すのが当然です」とミーちゃんは強調した。「実は、私たちは他に何も求めません。ただ浅川司に私たちの会社に戻ってきてもらい、半年間だけ働いてもらえば、その稼ぎで借金は相殺されます」