第817章 サプライズは最後まで取っておくもの

スターメディア。

これは天野奈々、中村さん、そして加藤静流の三人が所有する事務所で、海輝の個人事務所の傘下にある。

しかし、墨野宙と天野奈々には事前の約束があり、海輝と天野奈々は事務所設立を許可する契約を結び、天野奈々は優秀なタレントを育成した場合、必ず海輝に人材を送り込むことを約束しなければならない。つまり、彼女の役割は、いわゆる人材発掘だ。

それ以外に、海輝はスーパースターの運営に干渉せず、スーパースターも海輝の利益を優先しなければならない。

最後にもう一つ、海輝は天野奈々に一年の期限を与え、もし天野奈々が一年経っても何の成果も出せなければ、海輝との契約は自動的に無効となる。そして天野奈々たちの投資は個人の損失として扱われ、いかなる形でも海輝に返還を求めることはできない。

この契約は非常に厳しいものだ。なぜなら墨野宙は天野奈々に期待しているからだ。

彼は自分の女性を信じている。彼女にできないことなど何もないと。

「事務所設立当初は、タレントを獲得できない可能性が高いことを覚悟しておかなければならない。リソースの獲得はもっと難しい。海輝の名前を使って活動することはできないよ。」

「もちろんわかっています。」天野奈々は墨野宙に答えた。「もしこの程度の準備もできていないのなら、このような要求をする勇気もなかったでしょう。」

そう言って、天野奈々は墨野宙に近づき、彼の首筋に甘いキスをした。

これは二人の暗黙の了解であり、天野奈々が墨野宙に愛情を示す方法の一つだった。

もし墨野宙が彼女に多くの便宜を図ってくれたら、かえってやりがいがなくなると感じていた。今のままで、ちょうどいい。

事務所の立ち上げ当初、彼女は直接表に出ることはない。すべては加藤静流と中村さんに任せる。サプライズは最後まで取っておかなければ……

そして、彼女は今後、墨野宙と肩を並べて戦うことができる。彼女は単に墨野宙の保護を受けるだけでなく、墨野宙と分かち合うこともできる。

最も重要なのは、彼女が裏方に回ることで、これからは墨野宙や二人の子供たちと過ごす時間をもっと持てることだ……