第974章 人質を要求する

そのとき、佐藤じいさんは密かに天野奈々の様子を観察していた。今は木下准を探すのを手伝っているので、おそらく佐藤社長のことまで気が回らないだろう。しかし、それは彼女が自分の孫の素性を知らないということではない。もし木下准の件が片付いた後で、秋の決算のように清算されたらどうしよう?

あれこれ考えた末、佐藤じいさんは早めに機会を見つけて天野奈々を渡辺家に招くことを決めた。

……

芸能界の事情について、加藤静流は今は手が回らないため、天野奈々は中村明音の件を中村さんに全権委任した。

すぐに、天野明日野が知っている警察官が神代家の病院にやって来た。年齢は40代前半で、全身が引き締まった筋肉質で、一目見ただけで非常に正義感の強い人物だとわかった。特に、その美しい亜麻色の瞳から放たれる光は、正義の輝きそのものだった。