第46章 私は優しい人が好き

地下駐車場で、マスクをした近籐正明は車に乗り込んだ。

アシスタントは慌てて化粧直しをしながら愚痴をこぼした。「もう、外にはパパラッチがいっぱいなのに、どうしてそんなに堂々と姿を見せるんですか!」

そう言いながらも、実際は池村琴子に対する不満だった。

あの女は綺麗なだけで、近籐正明が直接会う価値なんてどこにあるの?彼女は正明があの女にみかんの皮を剥いてあげるところまで見てしまった。

彼女の正明がこんなことをしたことなんてあっただろうか?

「明日のニュースはどうなるか分からないわ。この女性とは今後会わない方が…」言葉が終わらないうちに、近籐正明に冷たい視線を向けられた。

「私のすることにいつから口出しできるようになった?」

「口出しするつもりじゃないんです。正明さん、会社がこのことを知ったら、私たちをどう罰するか分かっていますか?」