第130章 これからは池村謙一と呼んでくれ

高橋謙一は不気味に笑った。「あの人は他人の目なんて気にしないよ。母さんが諭してくれなかったら、ただの自己中な老人だ」

そう言うと、自分のカードを高橋進の前に投げ出した。「僕のカードを止めようとしているのは分かってたよ。先にカードを返すよ」

「待て!」

高橋進は怒りで鼻を膨らませ目を見開いた。「カードがなくても私を脅せると思うのか?お前の衣食住、受けてきた教育、全て家が出してきたんだぞ。帰ってこなければいいじゃないか!」

「帰ってこいって言われても帰りたくないね!」高橋謙一は冷たい声で、振り返って不遜な態度で言った。「そうだ、姓も変えた方がいいかな?この姓の恩恵も受けたくないし、妹の姓がいいと思うな。これからは池村謙一にしようかな」

「お前!」高橋進は胸を押さえ、激しく足を踏み鳴らした。「本当に良い息子を持ったものだ!親孝行者め!」