第118章 もし私も南條夜のことを好きだったら

山本正博は顎を引き締め、表情は良くなく、目には暗い影が漂っていた。

鈴木哲寧が言った通り、高橋家の人々が南條夜に好感を持っているようだ。

彼は指を強く握り締め、薄い唇を引き締めて、淡々と言った。「わからない。」

「確かに彼女と3年間結婚していたが、お互いのことをよく知らなかった。南條夜も同じだ。」

知らない?3年も結婚していて知らないだなんて?

高橋忠一は目に笑みを浮かべながら、すぐには返事をしなかった。

彼の審査するような目の下で、山本正博は続けた。「もし互いに好きなら、一緒になっても問題ないだろう。」

池村琴子が他の人を好きになったと言ったことを思い出し、山本正博は自嘲的に笑った。結婚中にもう少しで他人の子供の父親になるところだった。幸せになれるはずがないだろう。