第133章 妹よ、Wの組織を知っているか

彼女が断ろうとしたとき、隣にいた高橋忠一が電話のスピーカー部分を手で覆って言った。「高橋家は彼女を歓迎すると伝えて。」

池村琴子は一瞬固まり、高橋忠一をじっと見つめた。

高橋忠一は優しく微笑んだ。「君は私の妹だ。君のおばあさんは私のおばあさんでもある。彼女が君を育ててくれた年月を考えれば、亡くなった後に何かできるのは当然のことだ。」

池村琴子は感動で鼻が詰まりそうになった。これは兄の好意で、彼女のために何かしたいという気持ちだと分かっていた。

このような善意は、断るわけにはいかなかった。

彼女は電話を取り、藤原安に言った。「高橋家に住んでもらって構いません。ただし、なるべく外出は控えてください。こちらから給与の補填として、お金を用意します。」

安全を確保するだけでなく、お金で藤原安の心を繋ぎとめる必要があった。