第223章 顔面崩壊と面目失墜

もし高橋進と二人きりなら、あの古い考えの連中を騙せる自信があった。

でも状況は変わった。高橋忠一たちが来て、もしかしたら高橋仙も来ているかもしれない!

「お兄さん、次兄さん、三兄さん……」高橋姉帰は艶やかな唇を噛みながら、愛らしい顔に露骨な取り入りの表情を浮かべた。「お姉さんも来てるの?どうして私とパパに前もって言ってくれなかったの?」

高橋敬一が説明しようとしたが、高橋謙一に笑いながら遮られた。「前もって言う必要なんてない。今会えたほうが嬉しいでしょう?」

その簡単な一言で、池村琴子が来ているのかどうかは分からないままだった。

嬉しい?驚きのほうが近いわ!

高橋姉帰は無理に笑みを浮かべた。

高橋進に疑われないように、これ以上追及できず、胸が締め付けられるような思いだった。

今は高橋仙が来ていないことを祈るだけ。そうすれば、まだ状況を逆転できる。でなければ……

「高橋社長、ここにいらっしゃいましたか!」

中年の男性が、白いシャツにベストを着て、グラスを手に持ち、高橋進を見つけると満面の笑みを浮かべた。

「素晴らしいお嬢さんをお持ちですね!」あの日のことを思い出し、山口剣豪は胸を撫で下ろした。「実は恥ずかしい話なのですが、これが我が社と高橋家との初めての取引で、私はあの噂を信じかけていました。お嬢様のおかげで、会社の罪人になるところでした!」

高橋進は彼を見つめ、山口靴業のオーナーだと分かった。

山口靴業は全国的に有名で、靴業界のトップ企業として業界内でも名が通っていた。

自分の娘を褒められ、高橋進は誇らしげに丁寧に答えた。「彼女がしたことは当然のことです。むしろ、あなたの寛容さと信頼に感謝します。姉帰、こっちに来なさい……」

娘に手招きしながら笑顔で言った。「あの日は電話だけで会っていなかったでしょう。山口さんにご挨拶しなさい。」

高橋姉帰は心臓が大きく跳ね、表情を変えずにゆっくりと歩み寄り、微笑んで手を差し出した。「山口さん。」

山口剣豪は彼女を見つめ、手を握り返した。「高橋さん、あの日以来、直接お礼を申し上げたいと思っていました。」

高橋姉帰は微笑んで頷くだけで、一言も余計なことは言わなかった。

山口剣豪は心の中で違和感を覚えた。電話では饒舌だったこの高橋さんが、実際にはこんなに物静かだとは思わなかった。