第265章 あなたを守る

その言葉を聞いて、池村琴子は息を飲んだ。

南條夜との婚約を解消するつもりだったが、こんな形になるとは思わなかった。

彼女は必死に逃れようとしたが、腰に回された男の手は鉄のように強く、動くことができなかった。

南條夜の母は、わずかに唇を開いた。

事態がこのような展開になるとは思わなかった。

南條夜は血の気が引き、目には怒りが宿っていた。

この木村勝一め、何度も挑発してくるなんて、明らかに意図的だ！

「仙、何かあったら家で話そう。」

彼は池村琴子の側に歩み寄り、手を差し出した。

これまでは、池村琴子は彼について行ったが、今回はどうだろう？南條夜は自信が持てなかった。

木村勝一は池村琴子にとって何の価値もない存在だが、山本正博は違う。彼は子供の父親であり、元夫だった。

木村勝一が山本正博だと知った今、彼女は彼の味方をするだろうか？