第269章 ドロドロな人生

木村爺さんはレストランでお茶を飲みながらニュースを見ていた時、執事が入ってきて、ドア際で静かに告げた。「鈴木さんが娘さんを連れていらっしゃいました」

木村爺さんはお茶を持つ手を止めた。「どちらの娘さんだ?」

「お姉さんの方です」

長女なら、近藤愛だ。

かつて彼もこの娘を気に入っていた。性格が良く、孫の嫁に相応しいと思っていた。

あの愚かな孫のことを思うと、深いため息が漏れた。

この孫は息子夫婦の子供で、本来なら木村家の正統な長男だったが、生まれてまもなく転んで頭を打ち、知的障害を負ってしまった。木村家の名誉を守るため、この孫の存在は厳重に隠されていた。外部の人間は知っていても口にはできず、むしろ正博の方が木村家の私生児として広く知られていた。

正博は当時、山本家にいることを望み、戻る意思を見せなかった。そこで彼は、この知的障害のある孫に嫁を迎える考えを持った。