彼は誠治が一体誰を「ごろつき」したのか分からなかった。誠治の性格からして、そんなことをするはずがない。美人局に引っかかった可能性が高い。
誤解さえ解ければ、留置所から保釈されるだけでいい。
彼は待ちきれず、誠治を中から出そうと焦って外に向かった。
そのとき、ボディーガードが電話を受け、木村爺さんに言った。「社長、病院から連絡がありまして、高橋さんが入院したそうです。」
「高橋仙?」木村爺さんは白い眉を震わせ、彼女のお腹の子供のことを思い出し、声を低くして「子供に何かあったのか?」
「はい、子供は助かりませんでした。」
木村爺さんの心臓が激しく痛んだ。
この子供に期待はしていなかったものの、やはり初めてのひ孫で、生まれたらひいおじいさまと呼んでもらえると思っていた。