第388話 お帰りなさい

彼は誠治が一体誰を「ごろつき」したのか分からなかった。誠治の性格からして、そんなことをするはずがない。美人局に引っかかった可能性が高い。

誤解さえ解ければ、留置所から保釈されるだけでいい。

彼は待ちきれず、誠治を中から出そうと焦って外に向かった。

そのとき、ボディーガードが電話を受け、木村爺さんに言った。「社長、病院から連絡がありまして、高橋さんが入院したそうです。」

「高橋仙?」木村爺さんは白い眉を震わせ、彼女のお腹の子供のことを思い出し、声を低くして「子供に何かあったのか?」

「はい、子供は助かりませんでした。」

木村爺さんの心臓が激しく痛んだ。

この子供に期待はしていなかったものの、やはり初めてのひ孫で、生まれたらひいおじいさまと呼んでもらえると思っていた。