「高橋仙、あなた狂ってるわ!ここは私の家よ!」周りに集まってくる人々を見て、松田柔子はもう冷静でいられなかった。
彼女はそのパッケージを凝視し、血の気が引いた顔をしていた。
「何を怖がってるの?さっきまであんなに冷静だったのに、どうして今怖がってるの」池村琴子は嘲笑い、そのパッケージを手に取って弄びながら言った。「これは木村誠治に渡すものでしょう?外見は何でもないように見えるのに、なぜ命を取られるかのように怯えているの」
「もちろん命がかかってるわ」松田柔子は冷静を装った目の奥に狂気じみた感情を隠して言った。「高橋仙、もしあなたが私にこれを飲ませたら、必ず道連れにしてやるわ」
これは友人の紹介でネットで購入したもので、友人と彼女が使用するのを目撃したことがあった。30秒で効果が出て、ほぼ狂乱状態になるのだ。
もし彼女がこれを飲んだら、1分もしないうちに、ここにいる全員が彼女の醜態を見ることになる。
死んでも飲むものか。
しかし、このような反応は池村琴子の瞳の色を次第に深くさせた。
このパッケージは木村誠治の車から見つかったもので、病院で調べてもらったが、このような薬は病院にもなく、ただし六郎が調べたところ、特定の成分が含まれていることが判明した。
さっきは松田柔子の反応を見たかっただけだったが、これで完全に分かった。これはおそらく麻薬のような薬だ。
松田柔子は従姉妹に対して本当に手段を選ばないようだ。
池村琴子は冷笑し、指でそれを挟んで横の男たちに渡した。「これを飲ませなさい、手早く」
「高橋仙!!やめて!!」松田柔子は恐怖で後ずさりし、自分に向かってくる人々を見て、整った顔が震え始めた。
「何をしているんだ?」
突然、威厳のある声が階段の上から聞こえてきた。
松田明男が颯爽とした足取りで階段を降りてきた。長年の風雪に晒された顔は少し黒く、眉をひそめ、明らかに機嫌が悪そうだった。
たった今、会社の最も重要な取引先が突然契約解除を要求してきたという知らせを受けた。今年の業績と収入はこれらの取引先に依存しており、ほぼ70パーセントを占めている。もしこれらの企業が撤退すれば、会社全体が危機に瀕することになる。
前回鈴木家でこのようなことが起きた時は傍観して笑っていたが、まさか自分の会社にこんなに早く同じことが起こるとは思わなかった。