高橋敬一は少し緊張して言った。「大事な話があるんだ」
「毎日毎日、よくそんなに話せるな」高橋謙一は目を白黒させたい衝動を必死に抑えた。
血のつながりがなければ、この兄のことなど知らないふりをしたいところだった。
良いことには関わらず、悪いことには必ず彼の影がある。
池村琴子は高橋敬一の困惑した表情を見て、無表情で言った。「話して」
今日高橋敬一に話をさせないと、次も彼女を止めるだろう。
「波奈子は僕の彼女だ。彼女は人の言うことを聞きやすくて、姉帰とも仲が良いから、軽重の区別がつかないこともある」高橋敬一は一旦言葉を切って、「もし何か失礼なことがあったとしても、彼女を責めないでくれ」
高橋敬一は、高橋姉帰とこの四妹の関係がもう修復不可能だということを知っていたが、服部波奈子と池村琴子が敵対関係になることは望んでいなかった。