第555章 死んでも汚されない

しかし、長い間かけて電話をかけ続けても、相手は出なかった。

服部波奈子は池村琴子との関係を考えると、見知らぬ人以下で、池村琴子は自分の電話番号も持っていないのだから、出ないのも当然だと思った。

どれくらい走ったかわからないが、ようやく後ろの人たちから逃げ切れた。

彼女は普段からフィットネスが好きで、海外にいた時はランニング、ピラティス、様々な球技を欠かさずにやっていた。今になってそれが役に立った。

服部波奈子は小さな角に隠れ、しゃがんで高橋姉帰たちが前に歩いていくのを見ていた。

そのとき、電話が鳴った。

池村琴子からの着信を見て、服部波奈子は喜んで出た。「もしもし、仙…」

「池村と呼んで。」

服部波奈子は一瞬戸惑い、すぐに笑って言った。「池村さん、私、服部波奈子です。」