079 認めたくない

福田隼人が勝った。圧倒的な差で深谷茂の顔に痛打を食らわせた！

深谷茂がゴールラインを越えた時、福田隼人が既にゴールで待っているのを見て、完全に狂乱状態に陥った。これは一体どういうことなんだ、どうしてこんなことになったんだ？

BMW520の性能が自分のトップグレードを超えるはずがない。考えれば考えるほど腹が立ち、彼らがチューニングカーで自分を騙したという確信が強まった。くそっ！

彼は憤慨しながら車から降り、加藤恋の傍らで満面の笑みを浮かべて立っている福田隼人を見た。その場にいたクラスメートは全員呆然としており、なぜ福田隼人が勝てたのか理解できずにいた。

「くそっ、このやろう！お前の車、改造してただろう。わざとチューニングカーで俺を騙そうとしたんだな！」

秋山心は冷笑しながら言った。「さっきはレースで一番大事なのは技術で、車は関係ないって言ってたじゃない。負けたら言うことが変わるの？まさかこんな負け惜しみを言うなんてね」

「違う！」深谷茂の顔に一瞬の動揺が走り、すぐに弁解した。「お前らが最初から罠を仕掛けてたんだ。俺が負け惜しみを言ってるんじゃない！」

秋山心は軽蔑的に言った。「約束を守れない人間なんて、本当に嫌になるわ。さっきの賭けの条件は全部あなたが言い出したことでしょう。まさかこれだけの人の前で、自分で立てた誓いを破るつもり？」

「そうだよ！さっきまで加藤恋をいじめてたのに、今じゃ正体が分かったね」元々福田隼人と加藤恋の失態を期待していたクラスメートたちも、今では深谷茂に嫌悪感を抱いていた。こんな大人なのに負けを認められないなんて、そもそも彼が事を起こしたのに、今になって約束を守らないなんて。

そこで誰かが口を開いた。「深谷、まさかこんなにつまらない奴だったとは。さっきは好きにしろって言って、加藤恋と勝負したがったのに、今になって負け惜しみを言うの？」

「あの時加藤恋が彼を受け入れなかったから、深谷は今でも気に入らないんだろうね、ハハ！」

「そうよ！」ある女子が言った。「深谷、私は前まであなたを男らしいと思ってたわ。いつも言葉通りにする人だと思ってたのに。まさか今日こんな約束破りをするなんて、ちょっと見下げ果てたわ」