小林雪は一目見て言った。「分からないの?これは絵じゃない?」
東方浩はため息をついた。「こんな小さくて破れた物、たいして値打ちはないだろう。福田家の人はケチすぎるな!」
「でたらめを言わないで。同級生同士の贈り物は気持ちが大切なの」小林雪はため息をついた。東方浩は家族の決めた相手で、特に取り柄もないのに、とても打算的だった。
「雪、言いにくいけど、こういう人とは付き合わない方がいい。二人でこんな小さな絵一枚を贈るなんて、しかもグループの御曹司なのに...」
小林雪は深く息を吸い込んだ。「東方浩、ここは私のホテルよ。誰を招くかは私の自由!」
彼女の言葉を聞いて、東方浩の表情が一気に曇った。「小林雪、何を言うつもりだ?私との婚約時、お前の家はすでに破産していたことを忘れるな。このホテルが開業できたのは、ほとんど俺の父のおかげだぞ!」
その言葉を聞いて、小林雪の瞳が揺らめき、一瞬何と言えばいいか分からなくなった。
そのとき、深谷茂が二人の前に歩み寄ってきた。彼は愛車が壊された痛手から立ち直り、再び威厳を取り戻していた。
二人の前に来ると、大きな包みを取り出し、淡々と言った。「雪、ホテルの開業おめでとう。同級生として面子を立てないとね。何を贈ればいいか分からなかったから、開業資金を用意したよ」
小林雪が断ろうとしたが、東方浩が先に手を伸ばして急いでお礼を言った。重さから万単位の金額だと分かったからだ。「ああ、来てくれただけでも嬉しいのに、こんなにたくさん持ってきてくれて、本当にありがとう」
深谷茂は得意げに笑いながら尋ねた。「さっき加藤恋夫妻も贈り物を持ってきたみたいだけど、何を贈ったの?」
東方浩は首を振り、冷笑しながら言った。「露店で買ってきた絵一枚さ。たかが数千円のものだろう」
深谷茂は驚いたふりをして、実は得意げな目つきで言った。「まさか!福田家は資産数千万もあるのに、そんなケチな贈り物をするなんて!」
加藤恋と福田隼人、秋山心が席に着くと、深谷茂もすぐに近づいてきて、秋山心の隣に座った。
座るなり秋山心に笑いながら尋ねた。「秋山君、聞いたところによると今回東京に来たのはセイソウリキグループに就職するためだそうだね。秋山家で養えなくなったのかい?」