123 式場での口論

夏川梅は携帯をちらりと見ただけで、何も言わなかった。

加藤恋は笑いながら言った。「何を言えばいいのかしら。このビデオが私たちの手にある限り、いつでも時限爆弾になるわ。彼が父親に知られたくないなら、大人しくしているしかないでしょうね!」

純粋な加藤恋がこんなことを考えつくとは思わなかった小林雪は、思わず笑ってしまった。

これで終わりだと思っていたが、ホテルで現場を監督していた小林雪から突然電話がかかってきた。斎藤玲香が加藤恋を結婚式の会場に招待したというのだ。

加藤恋が会場に到着した時には、すでに会場の装飾は完璧に整えられており、椅子に崩れ落ちるように座っている秋山心を見つけた。

「お義姉さん……一晩どこに行ってたんですか。私一人ここに残されて、時間に追われながら会場の装飾を終わらせたんですよ。もうこんな目に遭わせないでくださいよ。」

秋山心の様子を見て、加藤恋も少し申し訳なく思い、何か言おうとした時、後ろで車が止まる音がした。

意外にも唐沢行が先に降りてきた。加藤恋が驚きに浸っている間、秋山心が唐沢行を見た瞬間に驚いて、手足を使って目立たない場所に這って逃げ込んだことには全く気付かなかった。

唐沢行の後ろから一人の老人が現れた。とても厳格そうな様子で、加藤恋はこの人が間違いなく斎藤の爺さんだと確信した。

ただ、この老人の顔色を見て、加藤恋は少し不思議に思った。見間違いでなければ、この老人の体調は見た目ほど良くないようだった。

彼らが中に入っていくのを見届けてから、加藤恋は秋山心を探し始めた。あいつはいったいどこに消えたのだろう。

結婚式が始まろうとしている中、彼女は正面玄関に向かって走った。

「止まれ!君は誰だ?我々のお嬢様の結婚式に、君のような者が入れると思っているのか?」入り口のボディーガードが言いながら、玄関脇の結婚式の招待状を指さした。

「斎藤さんに招待されたんです。」

「ふん、じゃあ招待状と祝儀を出してみろよ!もし君を入れて何か問題が起きて、お嬢様の結婚式や旦那様の平穏を乱したら、その責任を取れるのか?!」

これを聞いて、加藤恋は眉をひそめた。

「私はお嬢様に招待されたデザイナーだと言っているんです。」