165 重症患者との遭遇

福田隼人は眉をひそめ、電話の向こうで何を言っているのかまったく聞き取れなかった。おそらく詐欺の電話だろうと考えもせずに切ってしまった。

加藤恋は黙っていた。林原英明が張本の叔父さんの写真を加藤恋の携帯に送ってきた。張本の叔父さんの顔色を見て、加藤恋は心配になり、急いで食事を済ませて外に出た。

「あなたの奥さんを見てごらんなさい。こんな時間に外に出かけるなんて！福田家の恥さらしよ。外で何をしているのか誰にもわからないわ。この女はあなたにふさわしくないわ。隼人、お母さんの言うことを聞きなさい。この女とは距離を置くべきよ！」

福田嘉は最近、加藤恋に対する不満がますます大きくなり、恩田唄の方が良いと思うようになっていた。雲原静とまた話し合おうと思っていたが、その子は全く電話に出なかった。

「母さん、今はセイソウリキとの協力で忙しいんだ。これらのことには関与しないでくれ。僕には自分の考えがある」福田隼人はため息をつき、なぜ福田嘉が加藤恋にこれほど反感を持っているのか理解できなかった。

加藤恋の交友関係は限られていて、おそらく病院の張本の爺さんに何かあったから、こんなに急いでいるのだろう。

「林原院長！」加藤恋は車を降りるとすぐに走ってきた。「張本の叔父さんがなぜ突然こうなったんですか？前は症状が安定していたはずでは？」

林原英明が何か言おうとした時、数人の看護師が担架を運んできて、エレベーターから数人の軍人らしき人々が出てきた。

林原英明を見るなり、皆が興奮し始めた。担架の上の人は血まみれで、若い兵士たちは瞬時に目を血走らせた。

「どうか助けてください！」

「ここの医師の技術レベルが高いと聞きました！」

「皆さん、私たちの隊長を助けてください！あなたは林原英明、林原医師ですよね！記事で拝見しました。お願いです、隊長を助けてください！」

……

数人の大柄な男たちに突然囲まれ、林原英明はため息をつくしかなかった。

「若い方々、私が手を出さないのは……私は外科の専門家ではないのです。この若者の怪我は外科医による手術が必要なのです」