「動画を編集するって言ったからって、編集するのか?福田隼人!調子に乗るなよ。俺には加藤恋が誰かに強姦されたから、お前が彼女をそんなに庇ってるんじゃないかと思えてならないんだ」
地面に倒れた福田元がまだ大人しくならないので、福田隼人は容赦なく一蹴りを入れ、福田鐵の前まで蹴り飛ばした。表情は相変わらず冷静だった。
「言っただろう。そんな話をもう一度すれば、許さないって!」そう言うと、福田隼人の眼差しはより鋭くなり、福田鐵の制止も聞かずに、福田元の鼻梁に一発パンチを入れた。
この光景に加藤恋は呆然としていた。福田隼人が自分の味方をしてくれて嬉しかったものの、突然の出来事に戸惑いを隠せなかった。加藤恋が反応する間もなく、福田鐵の声が場内に響き渡った。
「この馬鹿野郎、今日こそ覚悟しろ!」
福田鐵が手を叩くと、数人のボディーガードが飛び出してきた。彼らは福田隼人と敵対したくはなかったが、現実は現実だ。将来の福田家の後継者は福田鐵なのだから、彼の言うことを聞かなければ、彼らの将来も危うくなる。
その時、玄関で、スーツをビシッと着こなし、髪を一筋の乱れもなく整え、杖をついた老紳士が車から降りてきた。彼はボディーガードも従者も連れておらず、ただ一人の信頼できる執事だけを伴っていた。
彼はそこに立ち、人々の目を引きつける超然とした威厳を放っていた。
挨拶もそこそこに、遊川顕は中に入っていき、その姿を見た途端、場内は騒然となった。
「見間違いじゃないよな!あれは遊、遊川の爺さん?冗談じゃない、なぜこんな場所にいらっしゃるんだ!」
「遊川会長!遊川顕だ!」
「まさか御本人がお見えになるとは、何の用件なんだろう」
この展開に、全員が次に何が起こるのか期待を寄せていた。誰もが知っているように、この老紳士は東京のトップクラスの人物なのだから!
彼がこんな小さなパーティーに顔を出すなんて、しかも女性のためのパーティーに、これは福田家、特に福田鐵に大きな面子を与えたことになる!
この面子は証明するまでもない。この話が東京中に広まれば、今の状況を一変させることができる。遊川顕を軽んじる狂人でもいない限りは。