「それにここは必ず開発されるから、あなたたちに売るにしても他の人に売るにしても、私が我慢強く待てば、今よりも高値で売れるはずよ」
「加藤さんの心の中にはすでに価格の見積もりがあるようですね。率直に話し合いましょう。どのようなお考えかを直接おっしゃっていただいても構いません」
加藤恋は頷いて、はっきりと言った。「八千万円、一円も引きません」
今度は唐沢剣が困った表情を見せた。「加藤さん、この価格が市場価格をかなり上回っていることはご存知のはずです。しかも個人所有の土地で、商業利用の必要もないのに、この価格は我々としても再考の必要があります」
「あなたたちがここにこだわるのは、この土地からの収益がその金額を遥かに超えるからでしょう?この価格を提示する前に、私なりに検討もしました。西も東も、残っている使える場所には大規模な住宅地があり、周辺を工業用地や娯楽施設に改築できる場所も少ないのです」