440 白井景、襲撃される

「さっきの人は嘘をついていた」ずっとベッドに横たわっていた川島芹那が突然口を開いた。「あなたたちが何を話していたのかは分からないけど、もし長い時間前のことなら、彼の記憶は詳しすぎる。まるで暗記して詳しく復唱しているみたいだった」

川島芹那の指摘で、加藤恋はさっき何か違和感を覚えていたことを思い出した。どうやらこの病院にはまだ調査すべきことが多くありそうだ。

「川島さん、ご安心ください。必ずまた来ます。あなたの火傷を完全に治せるとは約束できませんが、全力を尽くして試してみたいと思います」

加藤恋の確信に満ちた口調に、川島芹那の心に一筋の希望が芽生えた。加藤恋との出会いがどんな縁なのか分からなかったが、彼女に出会ったことで自分の人生が大きく変わるような予感がした。