501 心からの感謝

小瀧武が取り出した薬は本当に香りが強く、川島芹那は一瞬でこの薬丸が加藤恋から贈られたものと似た香りがすることに気づき、心の中である程度理解していた。加藤恋は自分の醫術のことを家族に話すつもりはないようだった。

「小瀧先生、この薬はどんな効果があるんですか?」福田嘉は本当に緊張していて、呼吸することさえ忘れそうだった。

「もうすぐ分かりますよ」実際、小瀧武も薬の効果が現れるのを待っていたので、多くを語らなかった。

様子を見ていた看護師は内心軽蔑していた。結局、彼らは手の施しようがない状態まで来ているのに、たった一つの薬丸で人を救えるはずがないと思っていた。「……神経系統が先ほどより活発になっています!」

看護師は瞬時に驚き、各種医療機器のデータを見ると、明らかに先ほどより活発になっていた。

「それだけではありません。福田さんの顔色も先ほどより良くなって、今では血色が良くなってきています」川島芹那は須田透が婿養子だということを知らなかったので、福田隼人が須田の姓を継いだと思い込んでいた。

しかし今はそんなことを気にする人は誰もおらず、全員がベッドの上の須田透に注目していた。彼の指が少し動いたのだ。

「透!透!私の声が聞こえる?透——」福田嘉は須田透の手の動きに気づき、すぐに声をかけると、須田透の目が少し動くのに気づいた。

「先生、先生見てください、意識が戻ってきました!」福田嘉は興奮して叫び、傍らの医師は完全に驚愕し、信じられない様子だった。

「どうして可能なんだ……」医師は信じられない様子で口を開いた。手術直後は患者に全く反応がなかったのに、今どうしてこんなことが、「大丈夫です!大丈夫です!患者さんは植物状態にはなりません」

「嘉……」須田透は苦しそうに眉をしかめ、口からゆっくりと一文字を吐き出した。表情は極度の痛みに耐えているようだった。

彼の声を聞いて、その場にいた人々は皆あまりの驚きに言葉を失った。須田透は本当に大丈夫になったのだ!

福田嘉は喜びの涙を流し、小瀧武は流石中医の達人だと感嘆し、見事に須田透を治してくれたと。