小瀧武が取り出した薬は本当に香りが強く、川島芹那は一瞬でこの薬丸が加藤恋から贈られたものと似た香りがすることに気づき、心の中である程度理解していた。加藤恋は自分の醫術のことを家族に話すつもりはないようだった。
「小瀧先生、この薬はどんな効果があるんですか?」福田嘉は本当に緊張していて、呼吸することさえ忘れそうだった。
「もうすぐ分かりますよ」実際、小瀧武も薬の効果が現れるのを待っていたので、多くを語らなかった。
様子を見ていた看護師は内心軽蔑していた。結局、彼らは手の施しようがない状態まで来ているのに、たった一つの薬丸で人を救えるはずがないと思っていた。「……神経系統が先ほどより活発になっています!」
看護師は瞬時に驚き、各種医療機器のデータを見ると、明らかに先ほどより活発になっていた。