545 完全に絶交

小瀧武もまだ怒りが収まらず、最近何があったのか、なぜこのような二人が加藤恋を狙っているのか考え続けていた。

最初に来た石川直について、小瀧武は彼の考えが全く理解できなかった。その日、病室で加藤恋を侮辱し、最後には調子に乗りすぎて、橋本様に窓から投げ出され、足を折ってしまった。まさか今になって厚かましくも自分のところに治療を求めに来るとは!

それに井野忠のことも!本当に許せない!

彼は以前、井野忠が加藤恋にセクハラしていたことを知らず、あやうく薬を渡すところだった。大変な過ちを犯すところだった。

そう考えると、つい自分の弟子を見つめてしまう。「昭、お前が時間通りに来てくれて良かった。もう少し遅かったら、薬を無駄にするところだった!」

昭も少し心配そうに、「そういえば師匠、加藤さんがその時言っていたそうですが、井野忠はその方面で問題があるかもしれないと…」

「なるほど!」小瀧武は感心して言った。「彼女の能力は以前よりも更に上がっているようだ…見ただけで問題が分かるなんて、まさに神業だ!」

昭は笑いながら言った。「でもあの男は自業自得です。加藤さんに喧嘩を売るからです。師匠、東京の人々にはっきりと立場を表明した方がいいと思います。そうしないと、こういう人はまだまだいるでしょう!それに加藤さんが、あなたと深沢家が代々の付き合いだということを知ったら…誤解されても困りますし。」

「その通りだ。じゃあ、お前が通告を出してくれ。」小瀧武はそう言いながら、携帯を取り出して深井須澄の妻にメッセージを送った。

深井須澄の妻は彼より二十歳以上年下で、小瀧武は彼女の正確な年齢を覚えていないし、最近はほとんど連絡も取っていなかった。しかし今は仕方なく、まずは深沢家に知らせておく必要があった。

六年前、深井須澄が重病に倒れた時、彼は海外から急いで戻り、深井須澄を死の淵から救い出したのだ。

時期から計算すると、今年は深井須澄の体調に再び危機が訪れる頃だ。一言伝えておくのも、人としての務めだろう!

当時は、深井須澄の体調に問題が出たら必ず手を貸すと約束したが、今となってはその必要もないだろう。