607 誘拐される

ここまで話して加藤恋は考え込み始めた。結局ここに来たのは木村信彦のためだし、何か特別な理由があるのかもしれない……

「加藤さん、うちの社長が言うには、あなたがよければ全て自分で決めていただいて構いませんと」とつよしくんがゆっくりと前に進み、小声で言った。

木野登はその様子を見て急いで説得に加わった。「福田奥様、ここは東京で最高の幼稚園です。私たちを信じてください。迷うことはありません!さあ!」

木野登の誠実な様子を見て、加藤恋は二人の子供たちに向かって尋ねた。「あなたたち二人はどう思う?」

何と言っても子供たちの気持ちが一番大切だから!

木村明は彼らが何を話しているのか全く分からなかったが、木村錦は考え始めた。実際、ここには残りたくなかったが、お父さんが彼らをこの幼稚園に通わせるのには別の目的があるはずだ……そう考えて木村錦は顔を上げた。「おばさん、この幼稚園に通いましょう!そうすればお父さんが僕たちを探しに来るのも便利です」