478 温井詩花の寝返り

「秋山花はおかしすぎるわ!加藤恋たちの戦術にまんまと踊らされて、キャプテンなんて務まるわけないわ、呆れた」

「彼女は後ろめたいことをたくさんしてきたから、そんなに疑り深くなるのよ。他人も自分と同じように陰険だと思い込んでいるわ」

「あなたたちが変なことを言うから、私たちの女神の実力が発揮できなかったのよ!デマを流したあなたたちを訴えられるのを待っていなさい!」

……

観客席では秋山花が騙されたことで、二つの派閥が激しく言い争っていた。加藤恋は再び自分のチームを勝利に導き、番組側がどのメンバーをサーバー間対抗戦に選ぶのか、今にも分かりそうだった。

「秋山先生」試合終了後、安藤静は秋山花を待っていた。

秋山花は彼女を一瞥しただけで、特に何も言わなかった。

「秋山先生、このバラエティ番組の収録前に私の手が怪我をしていて、しかも私を傷つけた人が、以前私が代理プレイヤーを使ったと証言した人と瓜二つだったことについて、説明したくないですか?」安藤静は秋山花の前に立ち、追及するように一歩一歩詰め寄った。

秋山花は一瞬ぼんやりとしたが、すぐに笑って言った。「何を言っているの?私には理解できないわ。安藤さん、あなたはもう私たちの会社の人間ではないでしょう。加藤恋に取り入ったからといって、再び人々の注目を集められると思わないことね。自分の立場をよく考えたほうがいいわ。でないと、今度は簡単には済まないわよ」

秋山花のこの言葉は、彼女が安藤静を陥れたことを暗に認めたも同然だった。ただし、安藤静には名声も権力もないため、彼女が外で何を言おうと気にしていなかった。

「どいて」秋山花は安藤静を睨みつけたが、安藤静はただお辞儀をするような仕草をしただけで、何も言わなかった。

秋山花が休憩室に入るのを見届けると、加藤恋は温井詩花を連れて出てきて、三人で非常階段に向かった。

安藤静は温井詩花を見て言った。「詩花、私は当時、故意に契約違反して会社を去ったわけじゃないの。今なら分かるでしょう、当時私が代理プレイヤーを使ったという濡れ衣を着せられたのは、秋山花が仕組んだことだったって」

「でも、どうして秋山先生が……」温井詩花は信じられない思いだった。時系列で考えると、当時の秋山花は名声も利益も手に入れていたのに、なぜ安藤静を困らせる必要があったのだろう。