「では唐沢社長、ありがとうございます」福田隼人は頷きながら笑顔で言った。
「みんなビジネスパートナーですから、お互いに助け合うのは当然です」唐沢行は特に何も言わず、脇で川島芹那と熱心に話している秋山心の方を見た。秋山心がここにいるとは思っていなかったようだ。
「福田さん、セイソウリキも川島グループと提携したいそうです。私は先に話をしてきます」唐沢行はそう言い残すと、川島芹那と秋山心の方へ歩いていった。
唐沢行が去った後、加藤恋は時計を見た。すでに10時半を過ぎているのに、福田嘉と須田透がまだ来ていないことが気になった。
そこで彼女は小声で、もうこんな時間なのに両親がまだ来ていない理由を尋ねた。
「たぶん渋滞かな?」福田隼人も腕時計を見た。彼と加藤恋は会場の準備のため早めに来ていたが、出発前に家族で10時には必ず式典に来ると約束していた。