526 福田桐子の身分

深井陽菜は福田桐子がこんなに早く納得するとは思わず、すぐに興奮して尋ねました。「どんな条件なの?」

福田桐子は突然笑い出しましたが、その目には軽蔑の色が浮かんでいました。「私も福田グループの総監になりたいわ。おばあさんが福田隼人に約束したあのポジションよ。これだけが私の要求で、他のポストは絶対に認めないわ!」

……

その夜、福田桐子はシャワーを浴びた後、バスタオル一枚を身にまとい、髪から水滴を垂らしながら、深井須澄の夜遅くに到着した旧友の部屋に偶然入ってしまいました。その夜、彼女はその部屋から出てきませんでした。

翌朝早く、その旧友が輝くような表情の深井須澄と福田桐子と一緒に階段を降りてきた時、福田鐵は少し気まずそうな表情を見せましたが、深井陽菜と福田元は異常なほど興奮していました。

このような行為が不適切だと気付いたのか、深井須澄はほとんど躊躇することなく口を開きました。「決めたよ。六千万円を福田家に投資する。福田グループは良い企業だから、このまま終わらせるわけにはいかない!誠意を示すために、すぐに三千万円を振り込むよ。残りは分割で支払うことにする。」

この言葉を聞いて、深井陽菜は興奮のあまり気を失いそうになり、福田鐵も喜んで手足を動かしていました。福田鐵は一瞬で気まずさを忘れ、むしろこの出来事は正しかったと感じていました!

彼らの目には、今の福田桐子は救世主であり、深井須澄と彼の友人は福田家の上客でした。

深井陽菜はすぐに人を呼び、三千万円が入金され次第、グループの再運営を開始し、福田桐子を新しいプロジェクト総監に任命すると宣言しました。

福田家の人々にとって、これは見事な逆転劇でした。全ての暗雲が一掃され、今すぐにでも祝砲を鳴らして、盛大に祝いたい気持ちでいっぱいでした。

深井須澄は福田家からの賛辞を受けながら、心の中でこれらの愚か者たちを嘲笑していました。結局、このプロジェクトで彼は一億円を手に入れており、たかが六千万円など彼にとっては些細なことでした。

彼は会社に直接福田グループへ三千万円を振り込ませ、福田グループの再建を支援すると同時に、個人的に福田桐子に三十万円を渡しました。

福田桐子は昨夜、全力を尽くしてその人に尽くしたと聞き、その人は非常に満足し、朝一番で深井須澄と契約を交わしたそうです。