612 雲原明の足切断

おそらく加藤恋の強い安心感のせいで、木村錦は小さな声で泣き始めた。

木村錦を寝かしつけるまで、加藤恋はようやくリビングに向かった。

「加藤さん、この携帯電話なんですが...」つよしくんは加藤恋に携帯電話を渡した。「誰かが玄関に置いていったようです。もしかしたら、誰のものかご存知かもしれません」

加藤恋が少し考え込んでいると、突然携帯電話が鳴り出した。

電話に出ると、向こう側は女性の声だった。

「この馬鹿息子、どうなってるの?まだ帰ってこないなんて!お兄さんと雲原静がもうすぐ帰ってくるのに、まだ顔も見せないの?お父さんをこんなに待たせるなんて、本当に死にたいの?」

電話の向こうは罵声を浴びせる声で、加藤恋はすぐに理解した。この携帯電話は雲原明のもので、電話の相手はおそらくギャンブルの王の次夫人だろう。