620 ごり押し

福田隼人は福田嘉が救いようがないと感じた。以前、簡単に騙されたのも無理はない。もし加藤恋がいなければ、あの日、彼らは誰一人としてあの連中の計略から逃れられなかっただろう。

それ以上何も言わず、福田隼人は看護師と話を済ませて会社に戻った。

一週間はあっという間に過ぎ、木村明の様子は明らかに良くなり、夜も一人で休めるようになった。加藤恋はようやく安心して家に帰ることができた。

翌朝、加藤恋が服を整理し終えたところで、秋山心から電話があり、すでに建物の下にいるとのことだった。

福田章は秋山心が来てから、まともにもてなしていないことを考慮し、加藤恋と秋山心も親しいことから、一緒に出かけることにした。

三人は道中、談笑しながら車を走らせ、港町へと向かった。約一時間半で、エリザベス温泉ホテルに到着した。