628 宮本家の過去

加藤恋は事を唐沢行に任せたが、少しも気を抜くことはなかった。結局、宮本莉里の名前がここに出てきたことで、彼女はまだ安心できなかった。

秋山心に簡単に説明すると、彼女は福田隼人を連れてどこかへ行ってしまった。加藤恋は急いで川島芹那に連絡を取り、宮本家が本当にホテルを貸し切っているのか確認した。肯定的な答えを得ると、彼らがどの部屋に泊まっているのかすぐに探り出した。

もし宮本莉里が本当にホテルにいるのなら、この件は彼女と無関係ではないかもしれない。結局、自分が男性に化けて求婚に行ったことがばれて、宮本莉里が宮本崇に連れ戻されたのかもしれない。

「彼らは確かに雲海の間を予約していて、しかも結婚式用だと言っています！階は、宮本家の人々が7階を貸し切っています。フロントに行けば誰かがカードをくれるはずです。気をつけて！」川島芹那の声も緊張気味で、おそらく加藤恋を守る人を見つけるべきだと思った。この女性は本当に心配の種だった。

……

「彼女が君の姪っ子か？」

宮本崇は冷笑して言った。「もちろんだ！兄貴は早くに死んで、この娘一人しか残さなかった！」

加藤恋は川島芹那から手に入れたカードを軽くスワイプした。ドアの隙間からだけでも二人の会話が聞こえてきた。

今、宮本莉里は両手を後ろに捻じ上げられ、体は地面に強く押さえつけられて変形していた！

宮本崇の言葉を聞いて、彼女は怒りで目が裂けんばかりに、絶えず暴れていた！

「どうしてこんなことするの！宮本崇、父さんはあなたに何一つ不自由させなかったのに、どうしてこんなことするの！」宮本莉里は悔しそうに叫んだ。あとほんの少しだったのに、空港で搭乗しようとした時に彼らに止められてしまった。

結局彼女は女の子で、背中を押さえつける何双もの手は山のように重く、この数人の束縛から逃れることは到底できなかった！

「一体どういうつもりなの？」宮本莉里は悔しそうに尋ねた。

宮本崇の向かいの男は無関心そうに笑い出した。「どういうつもり？分からないのか？お前の叔父さんが今、お前を俺、田中慶の嫁にすることにしたんだ。お前は必ず俺の女になる！」

「ふざけるな！」宮本莉里は思わず罵った。

「石田家の人と協力しなければ、向井家のこの世代に男の子がいないことなんて知らなかったよ。宮本莉里、お前はますます人を騙すのが上手くなったな！」