682 選択肢を与える

高橋山はプレッシャーを感じながらも何も言えなかった。もし彼自身がこのような状況になったら、彼も激怒するだろう…

高橋勇人は井野忠がまだ高橋山を困らせているのを見て、急いで口を開いた。「井野社長、どうかお怒りにならないでください。おそらくこの薬の効果がまだ完全に発揮されていないだけです。もう少し待ちましょう！父が言ったように、これは毒素を排出しているのかもしれません。体内の毒素がすべて排出されれば、自然とよくなるはずです。」

「まだ待つだって？これ以上待ったら俺の下半身がなくなってしまうぞ！くそっ、お前らはまだそんなくだらないことを言っているのか！全部お前ら高橋家のせいだ。二人とも役立たずめ。お前らが希望を与えなければ、俺はお前らの言うことなど信じなかったし、こんな目に遭うこともなかった。」

そう言うと、彼は直接二人の黒服のボディーガードを呼び入れた。

「あなたたちは何者だ？どうして我が家に押し入るんだ。」高橋山は井野忠が本当に手加減するつもりがなく、井野家の人間を直接彼らの家に侵入させる勇気があることに驚いた。

「さあ、まずお前たちに二つの選択肢を与えよう！一つ目は、私の部下にお前と息子の手を切らせることだ。」

井野忠は加藤恋と対峙して以来、用心深くなり、自分の側に二人の部下を配置していた。必要な時には当然、この二人に出動を命じるつもりだった。

「いやいやいや…絶対にダメです！この手は私の生活の糧です。手がなくなったら、私の人生の後半は終わりです。」高橋山はようやく自分が本当に大物に喧嘩を売ってしまったことを悟った。井野忠は港町の人間ではないが、彼の部下は実際に複数の鉱山を所有しており、その力は間違いなく高橋家の百倍以上だった。

高橋家はもともとこの件で逆転できると期待していたが、もし他人に知られたら、高橋山の長年の良い評判が一瞬で台無しになるだろう。

しかし彼はまだ理解できなかった。なぜこうなったのか。彼らの家の所謂神薬は、多く摂取しても肝臓と腎臓に少し問題が出る程度で、全体に影響を与えるものではなかった。井野忠のような症状は初めて見た。